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★ 「内臓脂肪」というのは少し運動をすれば比較的簡単に落ちる脂肪だと言われているのだが、オイラの場合これが全然落ちない。
毎日ウォーキングをしたり、自転車にも乗ったり、体は動かしているし、1日おきに筋トレも欠かさない。
体年齢も41〜42歳ともうすぐ30代の体だ。
それでも内臓脂肪だけは頑として11.5 (やや過多) で高止まりしたまま。
ランチで食べている鶏の唐揚げかなぁ。
たいして大きくない鶏の唐揚げ8つを毎日食べてるくらいではさほど内臓脂肪に影響はないだろう。
解せない。
かみさんも病院に行って診てもらった方がいいと勧めるので、内臓脂肪の謎を解明しに行ってくる。
★ 昨日はオイラの会社の連中とアソークのしゃかりき432で飲み会。
「たこ焼きチャレンジ」
と称して、タイ人スタッフたちがたこ焼きに挑戦した。
とにかく飲んで食って久しぶりに大騒ぎ。
みんなメニューを抱えたままなので、タイミングも何もなく料理が運ばれてくる。
日本人は最初サラダとかつまみ類を頼もうとするのだが、テーブルにはいきなりタイ人たちの注文した寿司や丼物や焼きそば、ラーメン、スイーツまで運ばれてくるからもう収集がつかない。
中にはまだたこ焼きも焼けてないのにテーブルの隅の方でサーモン丼を抱え食いしている女までいるからな。
まー、こうなったらどーでもいーやー!
飲めや食えやのどんちゃん騒ぎになったんだけど、しゃかりきは店全体がどんちゃん騒ぎなので気分はどんどん盛り上がっていくのだ。
★ もとママから内臓脂肪の減らない原因は揚げ物過多しかない、とツッコミを入れられたのでここでしばらくキッパリ鶏の唐揚げなど揚げ物をストップすることにした。
これは元会社を辞めて独立する決断をしたあのとき以上に大きな決断だと言わざるを得ない。
酒やたばこや女はやめられても揚げ物だけはやめられなかったオイラなのだから。
んで、今日はさっそく自転車遠乗り。
朝7時半に出発して90kmを走ってからスクムビットに開店したばかりの生そばの店でランチ。
本当はエビ天やかき揚げを乗せたかったけど、踏ん張って盛り蕎麦に。
これから禁断症状との闘いだっ。
★ ガリガリ君が日本で値上げした。25年ぶりというから長い。
赤城乳業では値上げをお詫びするテレビCMまで制作した。
先日ガリガリ君のアジア担当の方がこのCM撮影の裏話を話してくれた。
センターにいらっしゃる井上社長はこのCM撮影に当たって
「オレはいいよ、出なくて」
とCM出演を固辞されていたので、当日はみなそのつもりでスタンバイしていたのだが、撮影のために本社前に整列を始めるとその中に社長が混ざっていて
「おい、なんだよ、社長いるじゃないか」
と群衆がざわめいたらしい。
そんな社長のお茶目さを知った上でもう一度このCMを見返すと、厳めしい表情の社長に笑えてくる。
25年間の価格据え置きというと確かに長いが、考えてみると新卒社員の初任給額もオフィス街のランチ定食の値段もいろんなものが日本はこの2〜30年ずーっと変わらないんだよね。
★ 昨日から昼飯がこんなんなった。
野菜サラダと鶏ささみ肉。
いつも楽しみな楽しみな昼ご飯だけど、とても哀しい。
ペナンの「モンスタークライムレース」までもう1か月。
一昨日も自転車トレーニングをしたし、明日(タイの祝日)も走る。
だから無駄な内臓脂肪や体脂肪はできるだけ落としてあげないとあかんのや。
ああ、オイラもケージみたいにもともと油の抜け切った茶色い田舎料理が大好物っていう体に生まれてきていたらどんなに楽だったか。
悲しいけど、しばらくカリカリ君、パリパリ君、ジュワジュワ君、サクサク君たちとはお別れだよ。
★ 今週はもう毎日これ。
打合せから帰社しても楽しみのない悲しいランチ。
そして昨日も走ってきた。
マハチャイの海を目指して。
ルンピニ公園から繁華街を抜けてチャオプラヤ川を渡る。
4月に入ると35度を越える。
タイの一番暑い陽光を背負う。
海風、向かい風に苦しくなって下を向く。
苦しいけど止まるともっと苦しくなる。
だからペダルを回し続ける。
(回せ、回せ)
と自分に声をかける。
ようやく目的地の海が見えた。
海辺の陽射しも容赦なかった。
「たまには海を見たくなることがあるでしょ?」
バナナを食べながら晴雄さんが言った。
「海はいいよなー」
と私も思った。
★ “世界でいちばん貧しい大統領”
ウルグアイの前大統領ムヒカさんを見ていると、なんかこうほんわかしてしまうね。
彼曰く、
「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、欲深くいくら持っても満足しない人だ」
こういう人は、常に「飢えて」いるわけだから、貧しさから抜け出すことができないんだよね。
そして
「日本の皆さんは幸せですか?」
と問う。
きついよねー、今の時代あまり清貧でエラい人っていないからね、こういう人に問われると。
オイラは「得る」ことばかりでなく、「与える」ことに喜びを感じる人になりたい。
本当はそこに幸せがあるんじゃないかと思っているので。
★ グルガオンに駐在するケージを訪ねて昨日から初インド。
デリーの空港でケージと合流し、彼の車でデリーから5時間ほど走りジャイプールへ。
東南アジアに住んでいると、人々がルールに従って秩序正しく生活してないことに慣れているが、
「インドは別格だ」
と幹線ハイウェイを高速で走りながら考えた。
まず片道3車線あっても左が遅い車、右が追越し車線というルールがないのでどの車線にもとんでもなく遅い車がいる。
だから、ドライビングゲームのように常時左右にハンドルを切りながら3車線をジグザグに縫って走って行くしかない。
2時間も走るとこれですっかり体が参ってしまう。
その上、みんな車線を跨いで好き勝手なところを走っている。
コンパクトカーに一族郎党10人以上がひしめき合って乗っているのは当たり前。
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車線をはみ出すような荷物を積んで走る車も多い。
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その上、突然野良牛がたむろってたりする。
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一番命の危険を感じるのは、ちょくちょく正面からやってくる逆走車。
これはさすがにタイやマレーシアでもありえない。
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ようやくホテルに到着し、もうなんだか体も精神もぐったりして通された部屋が
「ヒンズー教の間」
気持ちがまったくくつろげず、もうやけくそのヒンズーポーズをとるしかない。
ちょうど部屋の前の廊下を通りかかった白人客らがウチらの部屋を見て
「クレイジー....」
口をあんぐりさせた。
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インド恐るべし。
★ インドで迎える初めての朝、オイラはジャイプルの町をブラブラと歩いてみた。
大通りから外れて小さな路地に入って行くと、2人の男の子に
「写真を撮って」
とせがまれた。
子供たちから写真を撮ってなんて声をかけられることは滅多にないので、よおし、よおし、と撮ってあげた。
撮れた写真をカメラのディスプレイで見せてあげるとえらく喜ぶ。
そんな様子を遠巻きに見ていた他の子供たちが一人ずつ寄ってきて、3人写真、4人写真とどんどん増えて行く。
だんだんおじさんやおばさんまで撮ってと寄ってくる(笑)。
んで、ディスプレイに写る小さな自分たちを見て歓声をあげ、満足する。
その写真をプリントするなどして手に入れることには興味がないようだ。
彼らと別れてしばらく歩いて行くと、チャイの屋台があった。
遠くから見ているとそこで集っているおじさんたちに
「飲んで行け!」
と招き入れられた。
ジンジャーを潰してお茶を煮立てる。
おっちゃん、うれしそうだ。
近所のおじさんたちの朝の社交場なのだろう。
みんないい顔をしている。
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午前中に通称モンキーテンプルと呼ばれる山間の寺を目指す。
寺は町を見下ろす丘陵の上に建てられているので、その頂上に向けて登っていると、降りてきた子供たちにまた「写真撮って」と頼まれた。
行き交う人々はみな「ハロー」「ナマステー」と我々に声をかけてくる。
インドの人々はこんなにも人懐こかったのか。
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麓に戻ったところで子供たちがクリケットで遊んでいた。
インドでは最も人気のあるスポーツだ。
オイラはやったことがないが、彼らに混ぜてもらって初打席。
2球空振りして、3球目にうまくボールが当たってくれた。
「わぁー、うまいうまい!」
子供たちに喜ばれてタコもうれしい。
インドの人たちはこれも格段にフランクで、彼らとの触れ合いになんだかオイラもどんどん心を開かせられていくのだ。
★ 「え? この列車はカジュラホには行かないよ!」
寝台車の上段ベッドで荷物を解き、ゴロリと寝転んだオイラの耳に片言の日本語が飛び込んできた。
下段でかみさんと話をしていたインド人の青年が驚いて発したのだ。
「降りろ!」
オイラとかみさんは寝台の上の荷物やスーツケースをドタンバタンと引っ掴み、担ぎ上げ、倒れんばかりに車両の出口へ走った。
乗り込んで10分ほど経った列車が少しずつ動き出していたからだ。
幸いなことにインドの列車には自動扉などという気の利いた物は設置されていない。
開けっ放しの手動扉から動いているホームに飛び降りた。
「置いてきた物ないね?」
息の上がるかみさんが尋ねるのと同時に、現金やパスポートの入ったポーチを置いてきたことに気が付いた。
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血の気が引いた。
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列車はもうかなりスピードがついてきている。
オイラは列車を追いかけて車両扉へ飛び乗ると、車両内を左右の寝台に顔を振りながら走り、自分の寝ていたベッドを探す。
おい、どれだよ、どれだよ。
心拍数100%突破。
車窓の景色はだいぶ早く流れ始めている。
「あっ、あった!」
自分のポーチを暗い寝台の上に見つけると鷲掴みにして引き返す。
うわっ、もう間に合わないかー!
車両扉まで出るともう列車はホームの端に近づき、かなりのスピードが出ている。
そして。
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タコはホームに飛んだ。
(写真はイメージです)
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勢いのついた体はホームの上に放り出され、ゴロンと一回転。
起き上がって目を上げると、列車の最後尾がホームから遠ざかって行くのが見えた。
ホームではインド人たちがみなオイラを遠巻きに囲んでじーっと見ていた。
白目だけが浮き出ているような目力一杯の凝視に堪えられず、オイラは顔を伏せた。
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まだ心臓がバクバクしているところに、ひとりの少年が近づいて来た。
「どこに行くの?」
「カジュラホ」
「カジュラホ行きは次の列車だよ。ちょっと遅れているんだ。僕もカジュラホに行くから一緒に行こう」
ホッとした。
あんまりうれしかったので彼と写真を撮った。
シャンタヌ・パタック君のお父さんはカジュラホ駅の駅長で、お母さんと一緒にお父さんに会いに行くらしい。
列車の中で彼といろいろな話をした。
「バンコクに来たら連絡して」
と彼に名刺を渡した。
それにしても現金とパスポートの入ったあのポーチがどこかオイラの知らない土地へ消えて行ってしまったかも知れないと思い返すと、身の毛もよだつ。
★ 美しい遺跡が多いことで有名なオルチャ。
ベトラ川沿いのチャトリ群、美しいブンデラ王国の王室墓園の庭に踏み立って
「これは広角レンズで押さえておこう」
とカメラバッグを開いて蒼白になった。
レンズがない!
この前に訪れたチャトルブージ寺院に置き忘れてしまった・・・
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そのチャトルブージ寺院を訪れたときには他に観光客もなく、シンと静まり返った暗闇の中から1人のにいちゃんが出てきて
「20ルピア出せば、秘密のカギを開けて建物の屋上に上がらせてやる」
と、もの凄く怪しいことを言われたので、20ルピア出して秘密のカギを開けて建物の屋上に上がらせてもらうことにした。
「ケータイのライトをオンにして上れ。暗くて上れないから」
確かに人1人上がるのがやっとという狭くて暗い階段。
階段の1段が50cmはありそうな雑な造りなので、上って行くだけでしんどいし、砂や獣の糞もあって恐怖を覚える。
2階、3階、4階と上がると、青空が見えた。
そこは柵や手すりの全くない尖塔だけが周りに聳え、オルチャを一望するだけの恐ろしい屋上だった。
通常であれば一般公開できるような場所ではない。
秘密のカギを開けて上らせてやる、というのは本当だったのか?と冷や汗が出た。
端の方へ踏み出せば一陣の風が吹いただけで落下しそうだし、塔から離れないようにそろりそろりと辺りを伺う。
実はそこで写真を撮った時にレンズを付け替えたのだ。
狭くて暗い階段は上るも降りるも地獄。
もう2度とこんな経験は懲り懲りだと地上に降り立って思ったのだった。
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あの屋上に置き忘れてきた。
.
オイラはトゥクトゥクのおじちゃんに頼んで戻ってもらい、寺院の中に再び足を踏み入れた。
しかし、先ほどのにいちゃんがいない。
どうしよう。秘密のカギを開けてくれるやつがいない。
オロオロしていると、
「モォモォ、モォモォ」
と声がした。
まだ10代の若いインド人が首から
「耳が不自由なので支援をお願いします」
という札を掛け、オイラに (これを見ろ) と札をパタパタさせた。
今はこっちが支援して欲しい。
人は自分が幸せじゃないと人を幸せにすることができない。
すると、彼は
「モォモォ、モォモォ」
と言いながら手に小さなカギをぶら下げて人差し指で上を指し始めた。
「え!それは例の秘密のカギか!上階に上がれるのか?」
オイラはこのモォモォ君が救世主にも親友にも見え、一緒に人差し指で上を指した。
「じゃあ、もうすぐ開けてくれ!」
気持ちは逸る。
彼はカギを開けるとオイラの前に立って階段を上がり始めた。
「お前も上がるんかい!」
と突っ込んだが、モォモォ君の気が変わってまたカギを閉められても困るので、彼の後についてオイラも上った。
モォモォ君はノートルダムのせむし男だった。
まるで子供が自分のジャングルジムで遊ぶように真っ暗で不規則な階段をヒョイヒョイと上って行く。
オイラが2階部分に着くと3階に続く階段とは違う部屋から(こっちへ来い)と手招きする。
仕方がないのでそこまで行ってみると、
「モォモォ、モォモォ」
と外の景色とオイラのケータイを指差す。
「そうか、ここから写真を撮れ」
とガイドしてくれているんだな。
本当はもう一直線に屋上に上がって広角レンズを手に入れたら一目散に地上に降りるというミッションに集中したいのだが、せっかく彼がオイラを支援しているのだからオイラも彼を支援しないと申し訳ないと思い、そこからケータイで写真を撮った。
モォモォ君は穴から覗く景色がお気に入りらしく、穴があるとやたら写真を撮らされた。
こんな写真要らないよぉ。
それより早く屋上連れてっておくれよぉ。
じれったくて仕方がないのに3階部分でも覗き穴写真をたっぷり撮らされ、ようやく屋上に上がる。
暗闇から出たばかりの光に目を細めながら注意深く辺りを見ると、
あった!
オイラの大事な広角レンズが塔の淵に置かれてあった。
心の底からホッとして、さあ、降りようと思ったのだが、何かを探し当てて喜んでいるオイラを不思議そうに見ていたモォモォ君。
今度はオイラとレンズの記念写真を撮ると言ってきかない。
仕方がないのでレンズとポーズを取ってやる。
もはや「遺跡に生首」状態だしね。
レンズすら写ってないしね。
さあ、もういいでしょ?と彼を伺うと、ここへ来いとまた手招きする。
そんな端っこは怖いからいやだよ、と言っても聞かない。
(手をこうやって出せ、そうそう)
とポーズを強要され、
こんな写真まで撮らされてるオイラ。
笑ってないしね。
眉間にシワ寄っちゃってるしね、心情を察することができる哀しい写真だね。
そしてようやくお許しが出るとオイラは階段を降り始めた。
下りも走るように降りて行くモォモォ君。
2階部分まで来たところで、彼が (お金くれ) と手を差し出した。
もともと「支援」するつもりだったし、彼のお陰で助かったので少し多めに渡した。
なのに彼は (もっとちょうだい) と言い出した。
「いや、もう充分でしょ。降りようよ」
と言ってみたが、モォモォ君は1階に下りる階段前に立ちふさがったまま、オイラを降ろしてくれない。
これはやっかいなことになったな・・。
しばらく押し問答をしていたところで
「どーしたのー!どこにいるのーーー!」
階下から大声が聞こえた。
あまりに帰りが遅いことを心配したかみさんが寺院まで迎えにきたのだ。
オイラはここがチャンス!と
「ヤバい!怖いのが来た!」
目を見開いて怯えた演技をすると、彼も急に怯え出し、一目散に暗い階段を1階まで降りて行った。
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そして、ようやく戻ることができた王室墓園を広角レンズで撮り直した。
★ オルチャからカジュラホに到着したのは予定より約2時間遅れの夜10時だった。
あまり灯りのないホームを改札出口に向けて歩いていると背の高いインド人が
「トゥクトゥクでホテルまで100ルピアで行く」
と声をかけながら一緒に歩き出した。
改札を出てからのトゥクトゥク攻撃に気持ちを備えていただけに、ホームからのアプローチに出ばなをくじかれた。
「どのホテルに泊まるのか知らないのに100ルピーなの?」
「どこでも100ルピーで行く」
大丈夫なやつなのか、こいつ?
でも、駅からホテルまでの距離を考えると100ルピアは妥当だと思えたし、改札外でまたもみくちゃになるのはごめんだったので、彼のトゥクトゥクに乗ることにした。
彼の名前はナンディ(Nandi)。25歳。声はスリムクラブの真栄田のようにしゃがれている。
ホテルまでの道中、そのしゃがれ声でインドやカジュラホの遺跡についていろいろ説明してくれて好感が持てた。
最初に我々は日本人だと伝えたのに、しばらくの間、インドと中国が兄弟関係で仲が良く云々かんぬんと話し続けるので、
「あのね、オレたちジャパンね」
と訂正するとしばらく黙ってから
「チャイナとジャパンは違うのか?」
と聞き返されて今度はこちらが黙った。
日本もまだまだ頑張らなあかん、と中途半端に売れている芸人の気持ちになった。
ホテルはゲートから建物まで少し距離のある造りだったが、トゥクトゥクはゲートで止められた。
その先に進めない代わりにホテルのボーイがゲートまでやってきて荷物を運んでくれる。
たとえホテルの客が乗っていても決して例外のない厳しい階級社会。
それをもちろんナンディ君も自然なこととして受け入れている。
翌日はカジュラホの遺跡巡り。
ナンディ君は朝7時から11時頃、そして極暑時間を避けて午後3時以降の夕方に続きの遺跡を回るという全22遺跡500ルピーでどうだと提案してきた。
それを全部回れる体力的自信はなかったが、500ルピーはとてもリーズナブルに思えたので丸1日ナンディ号(彼が借りているトゥクトゥクの名前がナンディであることに彼はとても誇りを持っている)をチャーターすることにした。
(その6につづく)
★ 前の晩はクタクタだったので朝7時の出発は現実的ではなかったかと少し後悔したが、なんとかナンディ君の待つゲートで時間通りに落ち合えた。
この時期のインドは日中の気温45度近い猛暑で、地元の人でも出歩くのを避ける。
耐性のないタコが日陰のない遺跡を上ったり降りたりすればあっという間に大阪名物になってしまうため無理は禁物。
だが、朝のうちや夕方は気温も下がり、空気が乾燥しているせいでむしろ涼しく爽やかにさえ感じるのだ。
我々は7時から10時過ぎまであちこちの遺跡を回った。
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この地の遺跡で有名なのはミトゥナ像(男女交合のエロティックな彫刻)を含む官能的なレリーフ群で、あからさまで大胆な性行為の情景が神々しく彫られ、芸術的評価が高い。
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遺跡群の間にあるカジュラホの村も訪れ、民家の中を見せてもらった。
彼らは自分たちの生活を見せることで幾ばくかの収入を得る貧しい暮らしをしている。
でもおばあちゃんと孫娘で焼いてくれたチャパティは熱々で美味しかった。
次第に気温も上がってきて、遺跡がどれも「ただの古くて汚れた石」に見えてきた頃、一旦ホテルに戻ることにした。
遺跡にカメラを向けても遺跡を撮っているんだが、犬を撮っているんだかだんだんわからなくなってきた。
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「午後は3時頃迎えにきます。残りの遺跡を回ります」
ナンディ君はまだまだ僕の村には素晴らしい遺跡がたくさんあるんだ、と言っているのだが、正直なところオイラもかみさんもここまで毎日がずっと厳しい移動の旅だったので午後は少し休みたかった。
そこでナンディ君には500ルピーはここで支払うので一旦お開きにしようと伝えた。
ただ、もしかしたらまたムクムクと気力体力が充実し、
「よしっ、あと10ばかり古っちぃ石寺登ったろかい!」
となるやもしれぬので、
「もし、また夕方から回りたくなったら電話をするから」
と彼の電話番号を教えてもらい、その場で通話テストも行った。
「わかりました。ゆっくり休んでください」
「それから念のため明日は空港まで送ってね。午前11時にまたここで」
「もちろんですよ」
オイラとかみさんはナンディ君とゲートで別れ、
「ナンディ君、午前中だけで500ルピー稼げたからよかったね」
「でも、トゥクトゥクのオーナーから1日100ルピーしかもらえないらしいよ」
「そりゃツラいね。でも500ルピーもらったって言わなきゃよくね?」
などと話しながらホテルの部屋に戻った。
遅い朝食をとった後は、部屋で少し眠ったり、誰もないプールサイドで本を読んだり、本当にリラックスした1日を過ごした。
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夕方6時過ぎ、そろそろ腹も減ってきたのでネットでも美味しいと評判だった近所にあるインドカフェに散歩がてら行ってみようと部屋を出た。
ホテルのエントランスを出て、ゲートに向かって歩いていると、ゲートの向こうにナンディ君らしい人影が立っているのが見えた。
(その7につづく)
★ 近づいて行くとそれは紛れもなくあの長身のナンディ君で、オイラとかみさんを見つけるとニコリと微笑んだ。
「ええ? どうしたの? ずーっと待ってたの?」
「はい」
「うわー、それは悪かったね。電話してあげればよかったね」
「大丈夫です、トゥクトゥクで昼寝していましたから」
「Sorry. Very Sorry」
「No, No sorry. You are my friend. No sorry」
そして彼は近くにあるカフェまで乗せて行ってくれた。
そりゃ、そうだ。
行かないなら行かないと連絡してあげるべきだった。
「行く時には電話するから」
なんて言われても電話があった時のことを考えれば近くでスタンバイしていなければいけないもの。
かみさんと入ったカフェで冷たいインドビールを頼んだ。
一杯ごくりとやりながら、
「すでに500ルピーはもらっちゃったんだから、電話があろうとなかろうと次のお客を乗せようと思えば少しでも稼げたのに 」
「あんな酷暑の中、ずっと外で待ってたんだね」
なんて話していたら、なんか要領の悪いウチの息子とも影がダブって2人とも涙が出てきてしまって。
それでもチキンビリヤニやバターチキンが驚くほど美味しくて、もうなんだか泣き笑い。
翌朝、チェックアウトを終えて外に出てみると、ゲートの外でナンディ君が手を振っていた。
「今日はとても大きな祭があるんです。もう1日あれば見せてあげられたのに」
「そう、それは残念だ」
空港まで送ってもらって別れ際にナンディ君と記念写真を撮った。
「今撮った写真をあとでケータイに送ってもらえますか?」
「うん、送るよ」
「My friend ! きっとまた来てね!」
名残惜しく手を振ってナンディ君と別れ、ターミナルへ入っていった。
翌朝、ナンディ君からオイラのケータイにメッセージが入った。
「Good morning my friend. Next time you come back.」
晴れ晴れしく祭に参加している彼の写真と一緒に。
★ 遺跡の村カジュラホから空路デリーに戻ると、そこは無味乾燥、埃だらけの街だった。
その晩はゆっくり休み、翌朝ホテルの周辺を散策した。
蜘蛛の巣状に道を配したデリーの市街地を歩いていると、後ろからついてきたインド人が途中で横に並び、
「ウォーキングかい? 朝のウォーキングは健康にいいね」
と話しかけてきた。
これだけでもう怪しさ満点なんだけど、我々はこういうのとかなりの時間を共にしてしまう習性がある。
結局彼と30分も歩いて小さな土産屋に連れて行かれただけなんだけど、その連れて行き方が巧みなんだぜ。
少し一緒に話しながら歩いたところで
「このすぐ裏に面白いローカルマーケットがあるよ」
と急に思いついた風に言うの。
それで連れて行くよ、とは言わずに、
「僕はこのまま用事があるから連れて行けないけど、行き方を教えるよ。ここを真っすぐ行ってね、そうすると・・・」
こちらがよく飲み込めない顔をしていると
「うん、いいよ、途中まで一緒に行くよ」
と歩き始める。
(かみさんと話し続けながら土産屋まで連れて行こうとしているインド人)
しばらく行くと、
「じゃあ、僕はこの辺で。この先はね、あの角を左折してずっと行くとガバメントの団地があって・・・」
また「??」って顔をしていると
「おーけー、しょうがない、もうついておいで」
と、親切っぽく演技しながら歩き出すんよ。
で、途中でなんかケータイで電話したりしてんだけど、あれは
「これから客連れてくから店開けとけよ」
っていう念押しなんだな。
たっぷり歩かされた末に「ここだよ」って言われたのは、ちょうど店主が店を開けたばかりの土産屋なわけだ。
で、大理石の象とか象牙のチェスセットなんて代物を買うつもりはさらさらないので、店をぐるっと一回りすると中で叫んでいる店主を残して外に出る。
「まったくこんなところまで歩かされてよー」
と周りを見ていると今度はトゥクトゥクのにいちゃんが
「欲しいお土産ないんでしょ? 紅茶工場へ連れて行ってあげるよ。いろいろ試飲もできるよ」
と声をかけてくる。
オイラはうるせーなーと思っているんだけど、かみさんは
「紅茶ならいーか」
と話に乗っている。
「ここからどのくらいなの?」
「いや、もうすぐそこ。1分、1分。5ルピーでいいから」
「5ルピーでいいわけねーじゃんねー」
と言いながら結局乗るオイラとかみさん。
そして、これがまた1分どころか、街の中をずんずんずんずん走っていく。
「おい、遠すぎんだろ! 1分じゃねーじゃん!」
「もうすぐそこ!」
って言いながらずんずんずんずん走っていく。
こりゃもうあかんと思ったかみさんはいきなりトゥクトゥクから飛び降り、オイラはこのにいちゃんに後ろから羽交い締めに抱きついた。
キューーーー!!
と急停車するトゥクトゥク。
「おい、なにすんだよー」
「なにすんだじゃねーよ、どこまで行くんだよ!」
「もうすぐそこ、ほらあそこに見える、車の停まっているあの建物だよ」
そう言われ、仕方なく再びオイラとかみさんはトゥクトゥクに乗り込む。
その紅茶工場の前まで来ると、
「あー、まだ開門してないや、9時半からだからあと30分ある」
「お前なー、ふざけんなよ」
「大丈夫、もうひとつ美味しい紅茶のお店があるからそこに連れて行く」
「もういいよ!」
「絶対大丈夫!それで必ず5ルピーでホテルまで送るから。オレは絶対悪い人間じゃないから信じてくれ!」
舌打ちを100回くらいしながらもう一軒の紅茶屋に連れて行かれる。
「ここだよ!」
と降ろされたのはまた普通の小さな土産屋だった。
★ インド旅で見かけたインドっぽい光景いくつか。
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かぼちゃ車。かいばを運搬しているらしい。
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左下の写真はルーフトップバス。そうとう暑いと思う。右は行く手を遮る牛軍団。
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恐怖の逆走車。左の写真は対向車線をオイラの車と同じ方向に走っているトラック。右の写真はオイラの車に向ってくるトラック。
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村や町角にある床屋。オイラが通ると「ヒゲをそっていけ!」と招かれる。不思議なのは理髪師だけでなくて、客も一緒になって招こうとするんだ。インド人ほんと世話焼き過ぎ。
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ホーム間の移動はホームから降りて線路を渡っていいらしい。猿が遊んでもいいらしい。
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デリーの街角で紅茶屋を探してウロウロしていたら、あるコンドミニアムの前に立っていた制服姿のセキュリティガードが、
「なにを探しているんだい?」
って声をかけてきた。
「地図によるとMittal Teaというお店がこの辺なんだけど」
「ああ、Mittalは、ここじゃないよ。タクシーで行くといい」
「あ、いや、お店を見たかっただけだから遠いなら別にいいので」
と、セキュリティのおじちゃんに別れを告げて元来た道に戻っていった。
5分ほど歩いていると、プップッとクラクションの音。
車道を見ると、タクシーの運転席からさっきの制服姿のセキュリティのおっちゃんが「乗れっ」と手招きしている。
お前がタクシーかい!
とツッコンだのは言うまでもない。
★ オイラがインドに逃げている間のタイ正月、ソンクランはどうだったか。
今週頭にタイ内務省から発表された
「ソンクラン祭期間中の事故数」
によると、
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死者 442人
けが 3,656人
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大変な数字ですぜ、これは。
そのほとんどが飲酒運転。
酒飲んで水まいて、スピード出し過ぎて「ドカン!」で毎年この1週間で大勢死ぬのだ。
それも年々増えているっていうことで、タイの首相も
「どげんかせんといかん」
と言っているらしいが、大丈夫なんだろうか。
オイラも一昨年、ソンクランがまだ始まらない前日にバイクに乗っていたら歩道からいきなり水をぶっかけられてバイク転倒、一眼レフカメラ壊滅という被害に遭っている。
何かしら安全を担保できるルールができないものだろうか?
もし、来年もこのまま無法地帯になるならば、来年もインドに行くぜ。
あっちもすごい無法地帯だけどな。
★ カジュラホ村で出会ったナンディ君から毎日「おはよう」「おやすみ」が写真とともに届くようになってちょっと戸惑っている今日この頃です。
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今週も1週間仕事をしながら
「インド行きてーな」
とインドロス。
何が起こるかわからない、かの地の非日常を妄想していたんだけど、タイの新聞記事にこんなのが出ていた。
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犬を犯した男を動物虐待で逮捕、犬の悲鳴に隣人駆けつける
東部チョンブリ県からの報道によると、犬とセックスしたアイスクリーム売りの男(55)が動物虐待罪で逮捕された。
警察によれば、24歳の男性が7月23日、自宅で友人らとテレビを見ていた際、この家で飼っている3歳のピットブルが外で吠えるので見に行ったところ見知らぬ男が犬を犯している最中だったという。
その後、友人らとともに男を取り押さえ、警察に通報し、男は駆けつけた警察官に逮捕された。(バンコク週報)
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「いやいや、タイの非日常もなかなかなもんだぜぇ。。」
★ 今日は久しぶりに友人の結婚披露パーティーに出席。
着席形式だったが、オイラが最年長だったのか新郎新婦の横のテーブルで固定ミラーボール状態。
同じテーブルだった女性が3年前のソンクランで5歳の息子を連れてインドに家族旅行をしてからハマってしまい、毎年インド旅行をしていると聞いてテーブルは新郎新婦そっちのけでインド話で盛り上がってしまった。
こうしてウェディングパーティにはちょくちょく参列するんだけど、うちの娘はまだ結婚式をやらないので、オイラにはまだ花嫁の父役が回ってこないんだよね。
★ 夕方クアラルンプールに到着。5日間の出張。
相変わらず朝晩にナンディ君から挨拶メッセージが届く。
「今、どこにいるの、マイフレンド?」
「今はマレーシアだよ」
「カジュラホはとてもローシーズンで今日は一人もお客がいないので寝ていたよ。マレーシアの写真を送ってよ」
オイラも言ってみたいな、仕事ないから寝てよって。
観光客が来ないんなら焦ったってしょうがないか。
日本の先月の訪日観光客は新記録の200万人越えだって。
そのうちタイ人が10万人。
ひと月で東京ドーム満杯2回分の観光客がタイから日本へ行ったんだと思うとたいしたもんだよね。
ちなみに中国から50万人、韓国から37万人、台湾から32万人。。。
日本に行ってきた人々はそのほとんどが日本のシステムの正確さやサービスのクオリティを心に刻んで戻ってくる。
そうして評価を上げた「日本ブランド」がそれぞれの国でも選ばれるようになる。
「インバウンド」で、日本の国内と海外双方の日本人や企業が元気になれるといいじゃないか。
★ 今日は午前中からクライアントと打合せがあったので、朝飯を済ませると車に乗り込んでエンジンをかけた。
が、車はうんともすんとも言わない。
何度キーを回しても沈黙している。
ヤバい。
長らくKLにいなかったので車のバッテリーが上がっちゃったんだ。
仕方がない、タクシーで行こう!と「MyTeksi」アプリを立ち上げて近くのタクシーを探す。
しかし何度トライしても見つからない。
チップをRM5上乗せしても誰も応答しない。
チップをRM10にレイズしてもガン無視だ。
ヤバい。
それじゃあこれはどうだ、と藁にも縋る思いで「Grab Car」アプリを起動。
するとどうだ、すぐに
「オイラが迎えに行くよー」
って感じでドライバー、AZRIK BIN ROSLEさんから応答が帰ってきた。
やった。
Grab Carえらい!
2分で自宅まで到着すると表示されているので、門の外まで出て待っているとほどなく、真っ赤なBMWがオイラの前に停まった。
なんだ、なんだ、お前には用はないぞ、とシカトしていたら
こんなヤツが降りてきて
「やあ、Jun!乗っけていくぜ!」
って微笑まれてタコは大いに戸惑った。
後部座席に乗るのもなんかはばかられたので、助手席に乗り込む。
ROSLEさんは、トレーディング会社を経営する青年実業家で取引先との打合せまで時間があったため、オイラの呼びかけに応答したと言う。
なるほどねー、金持ちでもちょっとでも時間が空けばこうして小銭を稼ぐアルバイトをするんだからな、オイラもその意欲は見習わなきゃいけないな。
でも、彼ら一般ドライバーにも危惧している問題があるらしい。
この「Grab Car」アプリで一般人たちに仕事を奪われたタクシー運転手たちが彼ら一般ドライバーを襲うんだそうだ。
特にKLブキッビンタン界隈はアブナいらしく、オイラの目的地がそのブキッビンタンだったので最後はちょっと顔が緊張していたよ。
ひとつのアプリがひとつの産業形態を破壊する。
ツラいけど、この潮流はもう誰にも止めることができないんだよ。
★ KLの日本食屋業界はバンコクから10年ほど遅れている。
スクムビットなら北海道から沖縄まで、日本の名店が軒を連ねるが、KLでは脱サラ日本人やローカルのなんちゃって和食がマジョリティだ。
日本人人口も違うし、マレーシア人はタイ人ほど日本食に熱を上げていないからこれは仕方がないことだ。
マレーシアはローカル飯が美味いので和食にこだわることはないのだが、少しダイエットしてたり、健康を気にしたりするとやはり和食を混ぜないと外食で食べるものがないんだよね。
だからオイラの住むタマンデサで半年ほど前に日本人のおっちゃんがやっていた和食屋が閉店したのはちょっとガッカリした。
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んで、昨日オフィスの帰りに近所のショップロット前を通過したら、車の中から赤提灯が見えた。
「焼肉」「居酒屋」「定食」などといくつもの赤提灯がぶら下がっていて、窓には浮世絵がべたっと貼ってある。
この時点でこれはもう正真正銘、嘘偽りのないなんちゃって和食である。
でも、オイラはハンドルを切ってその店の前の駐車スペースに車を停め、中に入っていくことにした。
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ショップロットの2階。
入口にはチャイニーズの夫婦が待ち構えていて
「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」
とめちゃくちゃ歓迎ムード。
「いつオープンしたの?」
「3日前です」
片言の日本語。
なんか夫婦の一生懸命感がウザさギリギリ。
オイラは白飯はほとんど食べないつもりで豚肉定食を注文。
最初に出されたお茶が温かったんだけど、しばらくすると
「お茶が寒いので熱いのに代えます」
と変な日本語で交換してくれたので好感。
茶碗蒸しも豚肉もなかなか美味しくてこれは通えるレベルだな、とうれしくなった。
食事が終わると、夫婦がメモとペンを持ってきて
「今日の食事についてレポートを書いて」
と言われたのでビビる。
なんだよ。
マジか。
仕方がないので、もうレポートは仕事だけで懲り懲りなのにペンを取り、一品ずつ評論を書いてあげた。
「みそ汁は日本人の心だ。そのみそ汁が熱かったのは大変よろしい。日本人は和食店の評価をみそ汁の熱さで行う。みそ汁が一度でもヌルかったら日本人はその店には二度と行かない。心してみそ汁と向き合うように。
それからミニサラダにはドレッシングがかかってなかった。だから肉汁につけて食べた。それはそれで美味しいんだけど、ほんのちょっとでいいからサラダにはドレッシングをかけて欲しかった。日本人はサラダにドレッシングがかかってない店には二度と行かない。ミニサラダとは真剣に対峙するように」
メモ用紙を表も裏も目一杯埋めたった。
★ スタッフと一緒にオフィスのフードコートで昼飯を食っていたら、いきなり隣の席の客が飲み物を倒したので、全部ひっかぶった。
仕切りに謝っている当人を見たらインド人だった。
これまでのマレーシア人生25年、一度もインド人に興味を持ったことはないが、インド帰りのオイラは違う。
その上、人見知りだから自分から知らない人に話しかけることは滅多にないが、インド帰りのオイラは違う。
「ねえ、インド人?」
すげー、ストレート(笑)。
「そ、そうだけど・・・」
「インドのどこから来たの?」
「いや、ここに住んでるんだ」
「でも、どっから来たとかあるでしょ?」
「いや、僕はマレーシア生まれなんだ」
「じゃ、ご両親はインドのどこ出身?」
「いや、親もマレーシアだよ」
な、なんだ。
全然話が膨らまねーじゃねーか!
オルチャの話もカジュラホの話もできないじゃねーか!
「そうかー。じゃあインドは行ったことある?」
「ないよ」
なんだ、このインド人。
こんなのインド人と認めない!
★ オイラの日本の親族に昨日オレオレ詐欺から電話があった。
最初はお金の話は一切しないらしいね。
「オレ宛の手紙来てない?」
だけ。
しばらくして2回目の電話があって
「あ、手紙来たら取っておいて」
だけ。
親族には心当たりがなかったので適当に話を合わせて警察に連絡をした。
すぐに刑事が覆面パトカーで家にやってきていろいろと事情聴取。
「これはまた電話がかかってきますね」
そこでこの後の展開をどうするか?
ここで警察はこんなことを言った。
「犯人を捕まえるためには近所に刑事を張り込ませますが、取り押さえ損なった場合は、あなたに犯人グループの報復等のリスクがあります。どうしますか?」
親族は、テレビの刑事と違〜う!と思ったらしい。
「太陽にほえろ」の七曲署刑事なら
「犯人は必ず捕まえます。あなたを守りますので安心してください」
と言っただろう。
しかし最近の日本は他人の失敗を絶対に許さない風潮だから、刑事でもこういうリスクヘッジをしなきゃいけないんだな。
取り逃がすかもしれないよ、その場合はあんた危ないよ。
って言われて協力する市民いる?
親族も怖くなってお断りしたらしい。
刑事が
「はい、みなさん、そうおっしゃいますのでけっこうですよ」
と。
これでは振込詐欺の犯人なんていつまで経っても野放し状態で犠牲者は増えるばかりじゃない。
そうこうしていたら
.
電話が鳴った。
.
今度は刑事が出る。
「・・・ということだから、220万円用意しておいて。取りに行かせるので」
と金の話が出たところで刑事が、
「うらぁ!お前なぁ、全部わかってんだよ!誰だと思ってんだこのやろう!」
と恫喝した。
慌てて電話を切った犯人。
だけど電話口で怒鳴ることならおばちゃんでもできる。
我々市民が警察に期待するのは卑劣な犯罪者を捕まえることなんだよ。
★ もとママ [ 8個のから揚げのせいに決まってるでしょ。 どんだけ自分に甘いんですか。]
★ Jun [>もとママ えーーーー、うっそぉーーーー。]