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★ おでこにあった三つ目のカサブタがポロっと取れて落ちた。
取れたカサブタは石のように硬い。
へー、と思ってそのまま捨てればいいゴミなのだが、なぜかすぐに捨てられなかった。
デスクの上に無造作に置いたまま、どこかに飛ばされてなくなればそれはそれでと思って昼飯に出た。
戻ってくるとヤツは同じ場所にいた。
午後はカサブタと一緒に仕事した。
掃除のおばさんに捨てられればそれはそれでと思って帰宅した。
今朝出社してカサブタを探したら見当たらなかった。
ちょっと動揺した。
掃除のおばさんがデスクを片ずけてどこかに消えたか。
と思ったらノートの横にいた。
なんで安堵しているんだオイラは。
しかしこんなに気を揉むのはやだな、カサブタごときに。
今捨ててしまおうと思ったけれど捨てられず、引き出しにあった小さなビニールの袋に入れた。
自分でも何をしているのかわからない。
もうこの先の人生でこんなカサブタには出会えないという思いがあるのだろうか。