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★ どうしても見つからなかった。
バンコクにKLのコンドの部屋の鍵を置いてきてしまって、わざわざ大家さんに借りたスペアキー。
昨晩退社してコンドに戻り、この借りたスペアキーをジーンズのポケットから出そうと思ったがどこにもなかった。
え、ちょっと待って、なんで?
と独り言を言いながらポケットやバッグを漁ったが見当たらない。
駐車場の車に戻り、周辺や車の中をスマホのライトをオンにして探したがどこにもなかった。
オフィスのデスクは確認して出たつもりだったけど見落としたか、と思い再び渋滞の中に車を乗り入れオフィスに戻る。
デスクにもフロアにもトイレにもどこにもなかった。
オフィスの駐車場周辺も探したが油のシミがあるだけだった。
午前中に寄った会計士のオフィスに電話をかけたけど誰も電話に出なかった。
社長のセリナのケータイに電話をしたらわざわざスタッフがオフィスまで戻ってオフィス中を探してくれたけど出てこなかった。
念の為オイラも会計会社のオフィスに行き駐車したスペースを探し、その近所のレストランの従業員に鍵の届け出を確認してもらったが結果は同じだった。
スタッフとランチしたチャイニーズレストランに行き、フロアマネージャーに落し物の確認をしてもらったけどそれらしい鍵は届けられていなかった。
車を停めた辺りも這いつくばったがこちらも紙くずがカサカサ動くだけだった。
もう一度コンドに戻り、車とバッグを探した。
もしかしたらそもそも朝出がけに部屋に鍵を置き忘れ、ドアに鍵はかかっていないんじゃないかと思い付き、部屋のドアノブを下げたが、鍵はしっかりかけられていた。
もう思い付かない。
大家さんに恥を忍んで連絡し、スペアキーがないか尋ねたが残念ながらもうなかった。
ここの大家さんは本当にいい人で、もっとスペアキーを作っておかなかったことを逆にオイラに詫びた。
いやいや、すでに2セットもらっている上にそれをバンコクに置いてきて、借りたスペアキーを無くしたのはオイラなのだから大家さんには一点の非もない。
「明日鍵屋さんを呼びましょう。そして鍵を交換しましょう。費用は折半でいいですか?」
と大家さんが言うので
「とんでもない、こんなご迷惑をおかけした上に大家さんにはなんの落ち度もないのだから全て私が弁償します。本当に申し訳ありません」
と倍返しで詫びた。
ということで昨晩は寝るところがなかったのでオフィスのソファで寝た。
とは言うものの、体は窮屈だし、部屋の温度調整が難しく結局ほとんど寝られなかった。
ここが今のオイラの住処。