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★ レンバンガン その2
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で、昼ビールの酔いを少し冷ましてからビーチに出た。
おっちゃんにはああ言ったものの、所詮シュノーケリングなんてのは女子供のすることで、男はやっぱり波乗りだ。
ビッグウェーブに挑戦し、チューブに入るのだ。
「ボードをよこせ」
おっちゃんから渡されたボードを波打ち際に放り投げると、ポイントに向かって果敢にパドリングを始めた。
いい波が立っているじゃないか。
そこにいるのは地元のバリサーファーやオージーサーファーなど、ほとんどが白人の若い男女のサーファー達だ。
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でも、パドリングが重い。
なんだか腕が疲れてきちゃった。
漕いでも漕いでも彼らのいる場所にたどり着かないよ。
あれ、乳首が痛い。もう泣きたくなるくらい乳首が痛い。
そうこうしていたらなんだか船酔いみたいになってきた。
うー、気持ち悪い。吐きそう。
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と、サーフポイントとはお門違いの場所でぼんやりしていたオイラ。
一本も乗れずに這々の体でようやく砂浜に戻ったオイラにカミさんが
「望遠レンズで覗いていたけど、一向に動かないから腹が立ってきた。
ジジイが風呂入ってんじゃねーよ」
と怒っていた。
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レンバンガン その1
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宿はレンバンガン・クリフ・ヴィラと言って、名前の通り崖の上にあった。
明け方降っていた雨も朝の散歩に出る頃には止んでいた。
部屋から1分ほど森の中のスロープを降りていくとプライベートビーチに出る。
そこには子犬が3匹いて、海を眺めながら子犬と戯れる。
ビーチハウスにはカヌーやサーフボードが並んでいるのが見える。
「午後になったらシュノーケリングに行かないかい?」
とパドリングボードに正座して海の上を漕いでいく日に灼けたおっちゃんが声をかけてきた。
「そうだね、行ってみようか」
とりあえず砂をはらって崖の上にあるレストランに朝食を取りに向かった。