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★ 移動中に宝くじ売場があった。
すれ違った人が
「ここ当たるんだよねー」
と話していたので足を止めた。
「当たるのか? 10億円が?」
ちょうど年末ジャンボのタイミングで日本にいるし、珍しく買ってみるかと宝くじを買い求める人の列に並んだ。
並んでいてたら後ろに並んでいた女性2人組が話している。
「でもさ、10億当たっても使い道ないし、私なんか必要ないんだよね」
「何言ってんのよ、投資よ、投資すればいいのよ」
「投資?」
「マンションとか買うの」
「ああ、部屋買って人に貸したりするのね?」
「何言ってんのよ、部屋なんか買わないわよ、棟ごと買うのよ、10億なんだから。安いのなら3億くらいで買えるわよ」
「そ、そうなの? じゃあ、吉祥寺とか」
「ダメ、吉祥寺は現実より評判高くて割高だから。国立よ。」
「国立?」
「国立の駅前あたりに中古でもいいから買うといいのよ」
「へー、そうなんだー、国立はいいわね」
この2人は宝くじ購入意識の次元がずいぶん違うなー。
それにしてもそこまで具体的に使い道を描いて宝くじに向き合っているのか。
オイラの順番が来たので、窓口に歩み寄る。
「はい、連番、バラ、どの番号がよろしいですか?」
とおばちゃんが事務的に聞く。
とにかく笑顔のおばちゃんから買うのが当たる秘訣
と以前高額宝くじに当たった人たちのインタビューで言っていたのを思い出し、
「おばちゃん、笑顔で連番とバラ一つずつ選んでくれる?笑顔で」
「あらあら、難しいのね」
「笑顔ね」
おばちゃんは引きつり笑顔を浮かべながら宝くじの束を掴み、オイラに差し出した。
「はい、どうか当たりますように」
笑顔の満面で言ってくれた。
オイラも国立にする!