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★ 今日はいよいよムエタイジムの初日。
着替えとタオルと水をバックパックに入れて肩に担ぐと気持ちはすでに堀口元気。
クロントイ市場そばにあるムエタイジム。
そこは予想以上にいかつい体をした漢どもの熱気で蒸れていた。
オイラみたいにTシャツを着ているヤツなんかほとんどいなくて、太い腕、厚い胸筋、割れた腹筋を惜しげもなく見せている。
「どぉぉおおおお」
などと野太い声で周りを威嚇している。
ううぅ、オイラももうすぐこうなるのだ。
黒豹が吠えるように。
トレーニングの開始にはゴングが鳴る。
3分経つとまたゴングが鳴って一息つく。
トレーニング中に試合のサイクルを体に叩き込んでおくのだ。
さて。まずは縄跳び。
そりゃそうだろう。
格闘技といえば基本は縄跳びでしょ。
ところがあの片足ずつつま先で軽やかにタッタッタッタって飛ぶの、あれ難しいだね。
何度も縄が足に引っかかるわ、息は上がるわでもうとってもどんくさいおやぢ丸出しだ。
黒豹にはほど遠い。
縄跳びが終わると、タイ人のコーチがオイラの手にバンデージを巻いてくれてグラブを渡され、早速リングに上がれという。
え? それは普通1年くらい基礎訓練をしてからじゃないの?
と思ったけど、防具を付けたコーチに早速基本の構え方や右左のパンチ、膝蹴り、回し蹴り、肘打などなんだか凄い技たくさん一気に教えてもらった。
教わると早速コーチの防具にどんどん打ち込んで行く。
き・も・ち・い・い・〜
リングでのトレーニングが終わると、サンドバッグ。
これは重くてかたい。
弱っちいパンチじゃ揺れてもくれないのだ。
キックをしてもこちらの足が痛くて泣きたくなる。
コーチにサンドバッグを使ったトレーニングも教わって、次第に要領がつかめてくる。
その他腕立てやシットアップなどの筋トレ。
そしてまたサンドバッグ。
もう汗びっしょりで息もゼイゼイいってるよ。
休憩しながらリング上でジムの先輩たちがコーチと打ち合っている様子を見ると、その音や迫力でビビり上がる。
やっぱりすげぇなぁ、これぞ格闘技だ。
今日からオイラの拳は凶器だかんな。
気をつけろよ。
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