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★ 「今晩だと思います」
と告げられながら毎日毎日朝を迎えるのは精神的にも肉体的にもしんどい。
弟も枕元に置いたケータイがいつ鳴るかとなかなか眠ることができない日が続いている。
おふくろは意識のないところで1日でも長く生きようと頑張っているのだけど、苦しむのなら安らかにしてあげたいという気持ちもある。
今日は、どうしてもバンコクに戻らないといけない用件があり、朝一で羽田空港へ。
搭乗時間少し前にアラームをセットして休んでいたら、
「JL31にご搭乗の山森様、山森淳様、至急145番搭乗ゲートまでお越しください」
とアナウンスが流れた。
え、なんで?
弟がオイラを探して空港にアナウンスを頼んだのだろうか?
ということはいよいよ息を引き取ったか。
といろいろ考えながら145番ゲートに行くとすでに搭乗時間が過ぎていてファイナルコールの呼び出しだった。
搭乗時刻だとセットした時間が出発時刻で、出発時刻までもうあと10分だった。
あー、なんかいろいろ集中力が切れていてヤバい。
泥棒が入って警察が駆けつけたカミさんの実家は、実は義姉の早とちりで泥棒なんか入ってなかった。
義姉は警官たちに土下座して詫びたらしい。
先ほど、スワンナプーム空港に到着し、空港内のスタバで会社のスタッフと打合せを終えると、またイミグレを通過する。
空港を出ることなく、今晩の深夜便でまた日本に戻るのだ。
急な手配で直行便はなく、関空ー伊丹ー羽田という考えただけでも疲れる旅程だ。
この便は搭乗時刻を間違えないようにちゃんと乗り継いで帰国しよう。