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★ 今日はオフィスの下のCIMBに個人口座を開きに行った。
顔見知りの接客係が
「You are my friend. あんたはそこで座ってろ、オレが全部代わりに書いてあげるから。もう埋めるところがたくさんあって大変だから」
と全部やってくれた。
先日カミさんが成田でスマホ用のSIMを購入して設定を手伝ってもらおうと頼んだら
「規則でできない」
と何を聞いても「できない」の一点張りだったという話と比べるとずいぶん違うのだ。
SIMカードなんかどこでも店員が設定してくれるのが当たり前だけど、日本はやらないんだね。
だけどそれを作ったのは他でもない日本の消費者自身なんだろう。
企業がモンスターから自分の身を守るために。
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一方、こちらは「全部書いてやる」と言ってくれたのはいいものの、
そばを通る全てのお客に「ハイ!タンスリ!調子はどう!」と声をかけるので、遅々として進まない。
でも、オイラは日本の消費者じゃないから全然平気。
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ようやく埋め終わった2枚の申請書類をしばらく眺めてから
「なんだこれ、古い申請書じゃないか!」
と独り言を言いながらビリビリ破き始めたってまだまだ全然大丈夫。
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新しい申請書を最初から書きながら
「日本はすごいよねぇ。この間友人が日本に旅行に行ったら大きなビル全部がユニクロだったって」
日本旅行で驚くポイントがそこかよ、と思ったけどそんなツッコミは入れない。
「私はこのシャツもこのズボンもユニクロなんだ」
「へー、そうなんだ」
「ほら、あのカウンターの連中見てみ。彼らの着ているのも全部ユニクロなんだよ!」
だからと言ってオイラがありがとうって話じゃないしね。
「昔はHONDA、SUZUKIって言われたけど、今はユニクロなんだなー」
なんていう感慨も湧いちゃこないよね。
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「ねぇ、マイフレンド、保険入ってる? うちの銀行の保険にも入りなよ、毎月RM200口座引き落としだけだから。それでなんでもカバーされるよ」
と途中から手を止めて保険勧誘員に化けてもオイラは日本の消費者じゃないからへっちゃらなのさ。
「へー、医療費とか入院費とかいくらまでカバーするの?」
なんて返してあげちゃう余裕すらあるからね。
「んー、それはよく知らないから、後で教えるから今日サインだけしてくれないか?」
「今?」
「今、サインしてくれると私のところに『何がしか』が入るんだよ、お願いだよ」
日本の銀行員は絶対こんなこと言わないだろうなー、と思いながらも
「わかった、わかった、ちょっと考えさせてよ」
といなす。
ようやく申請書類が揃うのに30分。
ま、まあ良しとしよう。
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それからカウンターに行き、口座開設の手続きを依頼する。
申請書の記載事項をPCに打ち込みながら、担当の女性が
「会社の業務内容はなんですか?」
と聞くのでデジタルマーケティングみたいな、と答えるとそれは選択リストにないので他にはないか、と言う。
「うーん、じゃあITは? ないの? じゃあ広告。それもダメ? ソフトウェアは?」
と、とにかくオイラの会社の業務内容が登録リストにないためにそこから先に進めないらしい。
同僚やら上司やら5、6人が彼女の周りに集まってきて、喧々諤々し始めた。
「えー、そんなもんなんでも近いものでいいやん」
とオイラは言うのだが、そこはどーしても譲れないらしい。
最初っから商社とでも言っておけばよかった(涙)。
結局、リストにない業種を新たに申請するための申請用紙が出てきた。
ひぇ〜、またこんな申請書書かんといかんの〜と思ったけど、なんたってオイラは日本の消費者じゃないからハイハイ、ここに名前でここに電話ですね、とにこやかに応対しちゃうのだ。
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再び入力業務に戻った女性銀行員が
「お客様、ウチのクレジットカードは作りませんか? 今なら年会費も無料なんですよ」
と始まった。
「でもタイでカード持ってるから」
「マレーシアではマレーシアのカードじゃないとぉ」
うわ、ダッサ、みたいなリアクションをされたけど、オイラはまだまだ辛抱して(←辛抱って言っちゃってるやん)
「じゃあ、それは一旦考えるよ」
「今日はダメですか?」
こいつも今日加入させると「何がしか」が入るんだな、と思ったけど黙っていた。
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登録完了した証明書を持って今度はATMカード発行カウンターへ行く。
ここのおばちゃんは一体何を勧誘してくるのだろうと身構えていたが何もなかったのでちょっと寂しかった。
ATMマシンでPINナンバーの登録作業などを終えて、みんなに見送られて銀行を出た。
他の客対応での待ち時間はゼロだったのに開設作業に1時間20分かかった。
でも、全然平気。泣いたりするもんか。