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★ 海老くんは誠実である。
営業としてはとても大切なことなんだけど、初めて会うお客さんを説得して全く新しいものを買ってもらうにはパワー不足であることがわかった。
そこで今週は毎日終業時間後2時間ほど、ユキとオイラで海老くんの
「プレゼン特訓」
をやっている。
入社2ヶ月、海老くんの言葉に「どこかよそよそしい」「熱がない」「メリハリが無く面白くない」などユキやナミからも厳しいダメ出しがされていた。
海老くんはオタクである。
特にガンダムオタク歴は20年である。
では、海老くんが愛して止まないガンダムの素晴らしさを、全く興味のない我々に訴えて、少しでも
「アニメ見てみようかな」とか「ガンプラ作ってみようかな」
と思えたら。
これはプレゼン成功と言えるのではなかろうか。
という話になった。
月曜日のプレゼンで彼はガンダムの生い立ちやドラマ性など様々な背景を説明してくれた。
が、ユキ姉からは
「ウィキペディアそのまま読まれたみたいだわ」
「なにが面白いのか全然伝わらんかった。はぁ、それで?って感じ」
と一蹴され、がっくりと膝を折った海老くん。
昨日はメカ好きのユキのハートを射抜こうとガンプラを持ってきた。
これは確かに奏功し、メカ好きのユキはニヤニヤしながらガンプラを触りまくる。
今回は成功か?と思いきや、
「なんかアニメガンダムの良さがわからなきゃ、これはただのプラモデルや」
「伝聞や一般論で説明されても海老がガンダムの何を愛しているのかまったくわからん」
「じゃあ、ガンダムじゃなくてもスターウォーズでもいいじゃん」
それでも
「まあ、でもそれはもう好みですからそう言われちゃうと」
と海老くん反撃試みるも
「そこに逃げちゃったらもう話終わりやん」
と一撃撃沈。
「くーーーー、だめかぁー」
と天を仰ぐ海老くんに
「はい、また明日頑張って」
と失格が告げられたのであった。