★ 56歳のバースディイヴに考えた。

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自分はなぜここ、タイ、マレーシアにいるのだろう。

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なぜ母国である日本ではないのだろう。

海外赴任をして3年、5年で

「ああ、なかなか体験できない貴重な時間をすごした」

とほんの少しの未練を持って帰国する、そんな大多数の海外在住日本人が辿る道をなぜ歩まなかったのだろう。

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居心地がいい。

仕事にやり甲斐があって楽しい。

起業して会社があるから。

特に帰国する理由がないから。

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どれも正しい。

でもどれもそれだけでは理由にならない。

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日本にいると日本人という同質の価値観や考え方を持つ閉鎖的な社会の中で、「日本が世界」という観念から思考も肉体も抜け出せなくなってしまいそうな漠然とした不安を感じてしまう。

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日本にいる旧い友人たちと話していても、彼らにとって日本以外は非日常を体験できる旅行先でしかない。

ディズニーランドと同じで彼らにとっては現実の世界ではないのだ。

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そういう環境でも「広い世界」を意識し続けて、現実のものとして自分の価値を発信できる人はたくさんいるけれど、たぶん私は、自分はそんなに強くないと自覚しているのだろう。

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「広い世界」を実感していたい。

一度だけの人生だから。

だからここにいる。

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たぶんそういうこと。

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タイやマレーシア自体は世界の中で日本よりも遥かに存在感の薄い「ローカル」なんだけど、そこにいる人々や社会は常に「世界」に直に触れている、ここではそれを肌で感じることができるからなんだと思う。