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★ 昨日は断食明けのハリラヤプアサ初日。マレーシアのお正月だ。
と言ってもマレーシアに親類のいない我々は特にすることがないので、完成したばかりの(と言ってもまだ半分ぐらいしか開通していないんだけど)MRTに乗って、バンコクに移住する前に住んでいたダマンサラキムの家を訪ねてみることにした。
まず、車でSemantan駅へ。
どこの駅に行くにもまず車が必要なところがまだまだ未熟なマレーシアの公共交通機関だ。
駅のそばの路上に駐車して駅の階段を上がって行くと、
人気のなくシーンとした構内に改札口と券売機がSF映画っぽく並んでいた。
日本の正月なら初詣客で混雑しそうな鉄道も駅員ブースの中でヒジャブを纏ったマレー人女性が暇そうに座っているだけだ。
券売機の裏に、なんとファミマがあった。このレイアウト斬新。
雑誌売り場で一番目を引いた表紙の美女は、有村架純だった。
券売機でトークンを買って(紙幣はRM1とRM5にしか対応していない。こういうところがオイラが来た30年近く前と変わっていないマレーシアのダメなところだ)、ホームに上がると5分ほどで列車がやって来た。
乗客が誰もいない(笑)。
こういう非日常的な美しい写真が撮れるのもハリラヤならではだ。
4つ目の駅「TTDI」で降車し、見慣れたダマンサラキムのショップロットを歩く。
昼にはちょっと早かったけど、久しぶりに「角」(ショップロットのカドにあるので山森家やその関係者はそう呼んでいた。山森家マレーシア在住期の食卓)でマレーシア最高のローカル屋台飯を食べることにした。
屋台のじっちゃんもばっちゃんもみんな同じ顔ぶれで働いていた。
「久しぶりだね〜。こっちに帰って来たのかい?」
「どこにいるの?日本?」
5、6年ぶりだからみんな少し白髪になったり、腰が曲がったりしていたけど懐かしそうに声をかけてくれてうれしかった。
そして、ここのクレイポットイーミー。
この味を探してあれからありとあらゆる店で注文を繰り返して来たが、結局ここのクレイポットイーミーに優る味にはたどり着けていない。
マレーシア最高のクレイポットイーミーだ。
食後にブラブラと歩くと山森家が住んでいた広場の前のバンガローが見えて来た。
この広場ではチャビイ、ベン、エドという歴代の珍犬たちと散歩をしたり、子供たちとキャッチボールをしたりして遊んだ。
我々が住んだ家は、そのままだった。
ここにはJalanJalanの仲間たちがやって来ては宴を開いたり、ソフトボールチームの連中とは庭でリーグ優勝ビールかけ馬鹿騒ぎをしたり、懐かしい思い出がたくさん詰まっている。
日本からマレーシアにやって来て、何軒目かにこの家に移り住んだ時には
「思えば遠くに来たものだ」
と考えたけど、あの頃から今、改めて
「思えば遠くに来たものだ」
としみじみと思いながら再び誰もいないMRTの駅に戻っていった。