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★ 帰りのJALの機内で、離陸前からオイラの前の年配男性乗客とCAがなんかずっと揉めていた。
最初若いCAが眉をハの字にしてやり取りしていたが、しばらくして年配のCAが交代して話していた。
機外の音がうるさいのと前の男の声が小さいので詳細はわからないのだが、どうもノートPCを手元に置く置かないで揉めていたようで少しすると、
「じゃあ、預けて壊れたらどうするんですか?」
「ここは非常口席なので、どうしてもとおっしゃるならここにはお座りいただけません」
「降りろということですか!」
「いえ、そういうことでは」
という激高したやり取り聞こえてきた。
さらにしばらくすると年配のCAに変わって白いジャケットのチーフCAがやってきてまた延々と話している。
「預けて壊れたら責任取ってくれるんですか?」
という年配のくせに小学生のような幼稚な物言いに、これが日本をダメにしてきた不寛容なモンスタークレイマーというやつかと思い当たり、後ろのオイラもだんだんムカついてきた。
後ろから頭を小突いて、お前いい歳こいていい加減にしろ、アホ!と言ってやりたくてそのタイミングを待っていたんだけど、チーフCAとモンスタークレイマーの会話が全然聞き取れない。
万が一和解に向かっている途上で突然オイラが脳天を叩いたりすると、ただ単にオイラが罪人になり、機を降ろされかねないので初動は慎重にせんといかん。
シートの隙間から耳を出さんばかりにして様子を伺っていたのだが、チーフCAが勝ったようで男の手元にあった荷物を頭上の収納場所に押し込んだ。
そうか、折れたか、命拾いをしたな、オヤジ。
と心の中で呟いていると、ほどなく機はKLに向けて離陸をした。