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★ 今、ドンムアン空港。これからナミとマレーシアに飛ぶ。
昨晩は中学校時代の友人が、ゴルフ仲間とバンコクに遊びに来たので焼肉あづまで夕食会。
その席で彼がオイラを指差しながら
「こいつとオレ、中学時代に学校代表で杉並区の陸上競技会で400mリレーに出たんだよ」
と言い出した。
昔、大きな競技場の陸上トラックでリレーを走った記憶が微かにあるが、このことだったか?
しかし、それが杉並区の大会だったとか、この友人もリレーのメンバーだったとか、そんなことはきれいさっぱり忘れていた。
さらにこの友人は
「最初に走った奴がビリでオレにバトンを渡して来てさ、山森覚えてる? 田中だよ」
田中がメンバーだったことも、その田中がビリだったことも、その田中がこの友人にバトンを渡したことも何も覚えていない。
畳み掛けるようにこの友人は
「それからが凄かったよな、山森。田中がオレに『すまん!あとは任せた!』って叫ぶからよ、オレ頑張って2人抜いたんだよ。それで山森にバトン渡したんだ」
もう、何を言っているのかさっぱりわからない。
「それからこいつがまた速くてさ、また2人抜いたんだよ。それでウチらのアンカーに山森がバトン渡してな」
なんだか、もう夢の中の話を聞かされているよう。
「このアンカーが最強でな、ほら、石川。残りの競争相手を全員抜いてオレら優勝しちゃったんだよな!」
そんな映画のような話、なんでオイラはカケラも覚えていないんだ。
「あれ、杉並区の新記録でな、あれ以来、10年以上もあの記録破られなかったんだよ」
そのリレーの第三走者、ほんとにオイラだったのか?