Asia Internet World '96

"The Internet is like a knife which can be used to kill or creat a beautiful sculpture."

"インターネットはナイフである。
殺すこともできるし、また美しい彫刻を創造することもできる。"


---- マハティール マレーシア首相 ----



ジアのインターネットも急速にその裾野を広げている。もともと日本などと違い、パソコンが身近なものとして捉えられてきたから乗り越えるべき無駄な「カベ」がない。マレーシアで言えば、幼稚園や小学校の頃からクラスにあるという教育土壌もあるし、とりあえずパソコンを一通り扱えなければビジネスマンとして人並みの所得を得られないという社会環境もある。「金はあるから買うだけは買ったぞ、WINDOWS95。で? どうやんだ?」という状況とちょうど逆なわけだ。それでも個人購買力がどんどん高まっているこのアジアで今まさに大きな潮流となってきたインターネット。今回はその状況を追ってみよう。

3月7日から9日にかけ、クアラルンプール市内のシャングリラ、コンコルドホテルにおいて、アジア・インターネット・ワールド'96が開催された。 JalanJalanは8、9日のコンファランスセッションに参加、ここにその概要をレポートする。各セッションへはタイトルをクリックすると行ける。しかし、1人5万円は高い。



タイトル講師概要
アジアインターネットの将来トゥンク・シャリファディン博士
マレーシア電子システム研究所(MIMOS)
インターネットとはどういうものか。アジア、マレーシアの実情から将来に向けての課題など。
アジアインターネット開発トミー・チェン博士
NetCentre社長
ASEANにおけるインターネットブームは加熱している。これらアジアの国々がビジネス戦略のターゲットとなっている。96年、これらは顕著となる。
セキュリティについてバリー・マックイルケン
セキュリティ・ダイナミック社取締役
インターネットを取り巻く様々なセキュリティの問題。ファイアウォール、オーセンティケーション、電子署名など。
コンテンツ・コントローリングデビッド・サックス
米Pace大学助教授
ヘンリー・ステアーズ
Microft Information社社長
インターネットやWWW上に流される様々な情報、そのコンテンツ・コントロールはどうなっているのか。その将来は。
政府方針と通信規制マダン・ラオ
国連コミュニケーションディレクター
インターネットにより容易にアクセスできるようにするために行政や通信業者はどういう役割を果たすのか。アジアの通信業者政策は?
アジアインフラの行方ハリッシュ・ピレイ
Sembawang Media社社長
インターネットにおけるアジアでのビジネス機会を将来性あるものとするためのインフラ整備とは。


ジアのインターネットは未だ様々な課題を抱えながら、それでも大きな可能性を秘め日々広がっていく。マレーシアの副首相、アヌアは、「入ってくる欧米の情報コンテンツをどうチェックするかより、自国のコンテンツをどう高めていくかに投資するほうが遥かに価値がある」と言っている。全くその通りだ。今、アジアは、マレーシアはインターネットを通じて自国の文化やアイデンティティを堂々と世界に発信していくことができるようになったのだ。国際的に通用する通信インフラを整備しつつ、国際的に通用するコンテンツの構築やプロフェッショナルの育成に力を注いでいくことだろう。そこには、マハティール首相の夢でもある、欧米に潰されないアジアのアジア人によるアイデンティティの確立というものが見えてくる。さあ、このナイフ、素晴らしい未来の彫刻が彫れるだろうか。



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