アジア留学生たちの新年会



レーシアに限らず、アジア各国から多くの留学生たちが日本にやってきて勉強している。ではその具体的数字を述べよ、と言われても困るが、きっと大勢いる。JalanJalanにも日本からアクセスしてくる留学生たちがけっこういるよね。この「留学生」と「JalanJalan」の関係は、意外に古くに遡る。実は、Jalan・Junが育った東京の実家では、オババの代からもう20年以上も「アジアの留学生下宿屋」を営んでいる。そのオババは5年ほど前に天寿を全うし、現在はちょっと太めの人間ペンライト、2代目(写真左側)が大家さんを引き継いでいる。アットホームな雰囲気に加え、卒業生の資格試験、就職試験合格率が高く、「縁起のいい西荻アパート」と留学生たちの間では人気の下宿屋さんなのである。
 日本という外国にいて、金銭的余裕もないアジアの留学生たちは、クリスマス、お正月といったフェスティブ・シーズンと言えども、日本人学生のように外で遊ぶことも少ない。数少ない友人もけっこう忙しかったりするので、そんな時も狭い部屋で勉強していたりするのだ。でもホントはちょっと淋しい。一人っきりのニューイヤー。そんな学生の多い「縁起のいい西荻アパート」では、折々に留学生同士のささやかなパーティーを催す。今回も恒例の新年会。JalanJalanもちょっとお邪魔することにした。

 

本に来てまだ3ヶ月の何智輝(カーチーフェイ)君。彼は中国広州市から日本語を勉強しにやってきた。現在は、JET日本語学校在学中。もちろんまだまだ日本語は喋れないが、明るい性格だからすぐに友達もできて上達するだろう。

夢は日本で働くこと。そのために一生懸命勉強して、日本語だけでなく会社実務に役立つ資格を取得したいと思っている。

 

次は何智輝のお姉さん、何衛青(カーエイセイ)さん。彼女も広州市からやってきた。日本は今年で5年目。現在は駒澤大学経営学部3年生、奨学金で学ぶ優等生。それでももちろん弟との生活費は自分で稼がねばならない。学校が終わると駐車場管理事務所で「オーライ、オーライ」と声を上げながらアルバイトの毎日だ。

日本に来てまず驚いたことは、朝起きてすぐ鳴った電話から「朝は眼鏡してないんだね。」と囁かれたこと。恐いと言うより、「日本人は暇なんだな〜」と思ったそうで。あとは、トイレットペーパーが薄いこと。しかもシングル巻き。これじゃ、長くカラカラしなければならないよ、と。なるほどマレーシアなんかでもトイレットペーパーはたいがい2枚重ねだもんね。

の次は、3年前に香港からやってきた何宝珊(カーポーサン)さん。現在は東京ビジネス外語専門学校に通う。将来は通訳や翻訳の仕事をするのが夢だ。学校を卒業したらしばらく日本で経験を積んで世界の檜舞台に出られたらいいな、と考えている。

授業のない時は、新宿御苑のベトナム料理屋でアルバイト。学費と生活費を稼ぐ。彼女が言うには、留学生が日本で最も生活上のカルチャーショックを感じるのは、分別ゴミ。その厳しさもすさまじいが、「でもこれはいいことだから」と他の国も見習うべきだと言う。

して、こちらが何志富(カーチーフー)君。彼は2年前に香港から来日。彼は将来、商社マンになりたいと、日本語と平行して貿易の勉強にも時間を費やしている。アルバイトは四谷のベトナム料理屋さん。できれば日本でしばらく働き、ゆくゆくは世界を股に掛けたトレーダーになりたいと明るく語ってくれる。

日本のすごいところは、終電車まで続くラッシュ。あの時間まで家に帰らず、外にいる人があんなにいるというのはどういう事なのだろう、と初めは戸惑ったそうだ。それでも最近は不景気で残業や接待も減ったから、昔よりはましになったんだけどね。

て、トリを勤めるのはマレーシアからの留学生、(ルー)さん。4年前にイポーから日本にやってきた。JalanJalanはイポーと聞いて思わず、イポーチキンとモヤシで盛り上がってしまう。現在は、吉祥寺にある中野スクールオブビジネスで、コンピューター、システムエンジニアを勉強している。今年は彼女にとって大切な就職活動の年。今までの勉強の成果を生かして、何とか日本の会社に就職したいと思っている。アルバイトは新宿のイタリア料理店。

日本の四季はどう?と話を向けると、「私は寒いのが苦手だから、1年中暑いマレーシアの方がいい」と故郷を懐かしむ。

本のお正月と言えば、お雑煮。「縁起のいい西荻アパート」の留学生たちは、ハフハフしながら、「美味しい、美味しい」。写真左の何智輝くんにとっては、初めての味だ。こんな文化の交流がうれしい。日本にいるアジアの留学生たちはみな、勉強とアルバイトに明け暮れ、留学生同士の仲間ができるということもほとんどないと言う。

 

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ばらくすると、みんなで何やら相談しながら、「今晩は、これから2次会をします。みんながこんなに一緒に揃うことはなかなかないから」とうれしそう。どこで?と訪ねると、「ルーさんの部屋で」。それぞれが自分たちの故郷の話や日本の話に花を咲かせたのだろう。その日は、明け方近くまでルーさんの部屋の灯りが消えない「縁起のいい西荻アパート」であった。


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