マレーカンポンは洪水だった
10月の初旬、JalanJalanは昨年から恒例となったカンポン・ドリアン狩りツアーに出発。クアラルンプールから北へ車で約3時間のところにあるカンポン・ガジャーを目指す。ところが今年は例年になく雨量の多い雨季を迎えているマレーシア。もともと水はけの悪い粘土質の土壌を持つこの国は、スコールが降るといたるところで水浸しになる。そして、ペラ川の本流、支流入り組むここカンポン・ガジャーでは川の氾濫も相俟って、「水没の村落」となっていた。何年かに一度、数日間に渡って見舞われる天災。しかし、マレーシア。そこには被災地にはない異様な明るさがあった。 |
美味しいドリアンは明け方に落ちる。落ちたてフレッシュを頂くためには、こちらも夜明けから行動を開始。ハイウェイをビドーで下りたカンポンロードはまだ薄暗い。 | しばらく走っていると道路に水がヒタヒタと。道路脇に置かれた看板には「注意 前方に洪水あり」と書かれている。なんだそれは。そんなものどう注意するんだ。 | そのうちになんだなんだ、道路の白線も見えなくなってきた。ここは道なのか、川なのか。 | 車はそれでもひっくり返らないが、バイクは辛い。足を前に縮めて持ち上げ、窮屈な体勢で走る。絶対止りたくない、足をつけたくない、という気持ちが背中から漂う。 |
マレーカンポンの家屋はほとんど木造高床式。それでも泥水は床下から床上へと人々の生活を脅かす。 | 水が流れ、川の真中に建っているような状態の家屋。庭の木々も水草のよう。 | 玄関に取り残され、どこにも行けない状態のおじいさん。これは不安だ。 | 水の少ない高台の道端に集まる村の人々。みんな笑顔。何でそんなに明るいの。と思っていたら、この後水に浸かって立ち往生する車に全員で駆け寄り、水の上に押し出す。そしてお金をもらう。商売をしていたのだ。 |
おっとうの晴れ舞台
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「あっらー、アブドゥルの奴、いい事しとんなぁ」 「おとうちゃん、うちもお舟があったらいいのに〜」 「そうよぉ、あんたぁ。これじゃ動けないったらないよぉ」 |
「どうだぁ、おまえらぁ。おっとう、この日のために舟作っただぞ」 「うん!すげーよ、おっとう!舟だ、舟だ!」 「どうだぁ、おっとうかっこいいべぇ」 「おっとう、水が入ってくるぞ」 |
「かんげーやがったな、あの野郎」 「まったくこれじゃあよ、あえてバイクにまたがってる意味ねーべ」 |
「どうだぁ、お前らぁ。」 「おっとう、水がどんどん入ってくるぞ」 「おっとう、おらたち、どこ行くんだ?」 |
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「くっそう、ここから家までは泳いで行かねばなんねーよ」 「まったくおらたちも舟欲しーよな」 |
「あたしはちょっと泳ぎたくないよ、ここでは」 | 「どうだぁ、おまえらぁ」 「おっとう、こんなとこ来てどうすんだよぉ」 「なんだかあんまり便利でねーなぁ、これ」 「おっとう、もう帰りてーよ」 |
家々の間はすっかり泥水に覆われ、出入りもままならないが、子供たちは珍しい水遊びに大はしゃぎ。何年かぶりに降り積もった雪で遊ぶ子供の心境か。それにしても体に悪そうだぞ、この水。 | とにかく村は水浸しだってのに、ひたすら明るいカンポン・ガジャーの人々。他の国なら深刻な災害てな取扱をされそうなこんな状況でも、それを楽しんでしまうところがマレーっぽいじゃないの。驚くぜ、JalanJalan。 |