マレー人のほのぼの結婚式

ーデナー(庭師)をしているJalanJalanの友人、マレー人のハスブラー君が結婚することになった。ある日彼がピンク色の小さな招待状を届けてくれたのだ。一般的なマレー人家庭のごく普通の結婚式。唯一の日本人参列者だったJalanJalanが、祝福の潜入レポートを写真で紹介しよう。

 

5月30日日曜日、シャーアラムの住宅地にある彼の家が結婚式の会場となり、その前の路上が披露宴会場となる。典型的なマレー式結婚披露宴だ。 路上にはテントが張られ、テーブルが2列に並べられる。親類縁者や友人、近所のマレー人たちがどこからともなく集まってくる。 特に式次第があるわけではない。来た者順に「やあやあ、まずは飯を食ってくれ」と空いた席に案内され、マレー家庭料理でもてなされる。 向こう三軒両隣は、披露宴のためにその場所を提供され、それぞれの役割が与えられる。彼の家の隣は、さしずめドリンクバー。ここであの真っ赤なシロップ水が大瓶の中に作られ、どんどん運ばれる。

 

向かいの家は厨房。その前庭が、配膳室となる。近所のオバハンたちが総出で料理を作っていく。 はす向かいの家は、洗い場。お客さんが食べた食器はどんどん運ばれ、ここで洗われ、次のお客のために隣の配膳室へと運ばれる。 配膳場は、井戸端会議状態で賑やか。中で作られた料理が大きな盆にセットされると、これをテーブルまで運ぶのが若者たちの仕事。 いつもはいたずら盛りの悪ガキたちが、この日は皿洗い係。とにかくご近所一家総出のお手伝い。

 

しばらくすると車でやってきた、新郎のハスブラー君と新婦のノーマラさん。今日はずいぶん凛々しいじゃないの。そしてこれから式用の衣装に着替え。 ハスブラー君のお父さん、マリックさん。来る人来る人から握手責め。今日はうれしいね、マリックさん。 式の始まりの合図は、マレー太鼓コンパンの音と共に道の向こうからやってくる新郎の入場。ハスブラー君、一世一代の晴れ姿だ。 友人たちはみんな手に手にコンパンを打ち鳴らしながら新郎の後ろを歩いていく。何ともマレーの雰囲気が辺りを包み込む華やいだリズム。

 

家に近づいてくる新郎を迎えるように家の中から付き添われて静かに出てくる新婦。う〜ん、華やか、雅やか、美しい。 家の正面で二人は出会い、全員から祝福されながら一緒に並ぶ。手と手をそっとつないだ二人。ハスブラー、なんか元シャネルズの鈴木そっくり。 車一台分の駐車スペースをもつ前庭に設置された結婚式場。金糸のふんだんに織り込まれた豪華で艶やかな衣装。素晴らしいね、ほんと。 会場はすぐに一杯になってしまう。両隣や前の路上から大勢の参列者が厳かな式の流れを見つめる。

 

長老とおぼしき人が、周りのコンパンの音に合わせ、まさに歌うかの如く祈りの朗読をする。手作りでほのぼのとした中にイスラム世界の空気があふれ出てくるようなひととき。 ちょっと緊張した式が終わると、ハスブラー君とノーマラさんは晴れて夫婦となり、近親者と共に結婚式の特別料理の席に着く。そして再び長い祈りを捧げ、新しい家族たちとの初の宴となる。この頃にはいつの間にか参列者たちはいなくなり、大活躍だったご近所さんたちも家の中でホッと一息をついているのだった。

 



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