パンコール島
| パンコール島といえば、クアラルンプールから気軽に行けるリゾートアイランドとして海外ツーリストのみならず、地元マレーシアの人たちにも人気の島だ。東西4.5km、南北2km、バイクにまたがればほんの20分で一周できてしまうこの小さな島は、西海岸のビーチリゾート、東海岸の漁村といった二つの顔を併せ持つ、穏やかな風情あふれる別天地であった。
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・宿泊![]() 島の西側にはパンパシフィックリゾート、スリ・バユビーチリゾートなどリゾートホテルが点在する。それ以外でも海辺を望むシャレーがいたるところにあるので、そんなシャレーを借りてみるのがお奨め。(写真右)シャレーは大体シャワー、エアコン完備でRM100前後。部屋からちょこちょこっと歩いて出るとそこはもう砂浜といううれしい環境。他にも徒歩圏内に屋台村やシーフードレストランも必ずあるから便利。 |
・パンコール島 島内の移動は、タクシーかレンタルバイク。道路というと、海岸線を一周する道と中ほどを横切る道があり、ちょうど数字の「9」を作っているだけ。だから自家用車というのはほとんど見かけることがないのだ。何日か滞在すると道端やすれ違う人々の顔を覚えてしまいそうな親近感が島全体にある。地元の人たちもお互いにみんな顔なじみといった風 情が心を和ませる。島の南東はマレー人が住む漁村テロッ・ゲドゥン。1670年にオランダ人によって立てられた要塞の遺跡があり、乗合タクシーに乗った観光客がひっきりなしにやってくる。 ずっと走っていくとすぐにビーチに出るのだが、そこでは珍しいマレー人達の海水浴風景も見られる。全員が上下とも通常の衣服を着たまま。さらにあのマレー人女性のホッカムリをしてはしゃぐ姿は見ていて「そこまでするか」と声を上げさせる。(写真左) |
![]() 漁師の村は朝が早い。船がしこたま魚を積んで戻ってくると、早速朝市で新鮮な魚が売られる。と言ってもカツオなどの高級魚は、みな冷凍してクアラルンプールに運ばれてしまう。だからパンコール地元の市場に出るのは、あまり人が買わないほとんどタダのような魚たち。日本ではヒラキにしたりして人気のカマスなどは、金出して買ったら笑われるというほどの魚で、ほとんど捨てられてしまう。同じように高級料理で必ず名前が出る舌平目もタダ同然の捨て魚。本当に世界の価値基準なんてものは千差万別で全く当てにならないな。 |
![]() 船が着いて間もない頃、船着場の傍の魚加工所へ行くと、煮干にする小魚を天日に干すためにばら撒く作業が行われている。「ちょっと、食ってみんかぁ」とオニイチャンがうれしそうに声をかけてくれる。新鮮な魚をサッと塩で茹でたものは、香ばしくて最高にうまい。朝からビールが飲みたくなる。これが干されると、乾物屋の店先にどかっと置かれ、量り売りされる。マレー料理のイカンビリスもこうして作られていくのだなぁ。 |
![]() 朝の一仕事が終わると、地元のじっちゃま達はいきなりボーーっと暇になる。天板に乗せられた魚を売る気はすでに無い。大きな木の根元に集まってお茶を飲みながらいろんな話をする。ギリシャ辺りへ行くとゾルバと呼ばれる髭を蓄えた地元の男達が、港町で同じように寄り集まって話をしている。きっと日本の漁村でも同じような男どもの光景が見られるのだろう。そのままずっと歩いていると、どの家も軒先に並べている赤い液体の入ったペットボトル。いったいこれはなにかというと、ガソリンだ。島内にはガソリンスタンドといったものがないので、バイクで走る人達はこのジュースのペットボトルに入ったガソリンで補給する。一ボトルRM2だから、本土のスタンドより若干高め。だけど、これだけほとんどの家の軒先にガソリンがあるので、走行中ガス欠で往生するということはないね。 |
![]() とにかくひたすらのんびりとしているパンコール。砂浜ではブランコに揺られながら日がな一日海を見ているマレー人夫婦もいる。木の上には、JalanJalanのマスコットでもお馴染みのホーンビル。JalanJalanは、本物と初めてご対面。「おお、そうかぁ、お前はここにいたのかぁ」ととてもイトオシイ。リゾートホテルでゴージャスな時間を過ごす合間に、ほんのちょっと地元の村に出て、探索してみるといい。そこの人々や生活に触れてみるともっといい。それぞれの島にはそこにしかない顔を持っていて、そんな発見がとてもうれしい。朝のシャワーを浴びたらすぐに浜辺へ出てみる。セラマッ・パギッと近所の人達が集まってくる。そこに店を出す食堂で潮騒をBGMに焼き立てのロティ・チャナイを食す。この幸せが、もうひとつのパンコールの顔なのだ。 |